方法論
このページでは、本サイトの各数値の定義、データの集め方、抽出と検証の方法を説明します。案件ページの項目名から、該当する定義に直接飛べます。
データの出所
すべてのデータは、金融庁の電子開示システム EDINET に提出された書類から取得しています(EDINET API v2 を使用)。株価データなど、書類以外のデータは使っていません。
対象は、発行者以外の者による株券等の公開買付け(いわゆる他社株TOB)です。自社株買いのための公開買付けは含みません。取得する書類は次のとおりです。
- 公開買付届出書・訂正公開買付届出書
- 公開買付撤回届出書
- 公開買付報告書・訂正公開買付報告書
- 意見表明報告書・訂正意見表明報告書・対質問回答報告書
案件のまとめ方
案件ID:対象会社の証券コード4桁-公開買付届出書の提出日(YYYYMMDD)。証券コードが無い場合はEDINETコードを使います。同じ日に同じ会社を対象とする届出書が複数ある場合は末尾に -2 などを付けます。一度振ったIDは変更しません。
書類のひもづけ:公開買付届出書1通を1つの案件の起点とします。その他の書類は、(1) 書類に記録された親書類(報告書・意見表明報告書・訂正書類などが指す元の書類)、(2) 対象会社と提出者、提出日の近さ、の順で案件にひもづけます。候補が複数ある場合(対抗的な公開買付けなど)は最も近い案件に仮にひもづけ、案件に「要確認」の表示を付けます。
届出日:公開買付届出書をEDINETに提出した日です。多くの場合、公開買付けの開始日と同じで、公表日(前営業日のことが多い)とは異なります。
種別:TOB(公開買付け)が基本です。書類に「マネジメント・バイアウト(MBO)」に該当する旨の記載がある案件はMBOとしています。東京証券取引所の「MBO等に係る遵守事項」の適用を受けるという記載だけでは、MBOとしていません(支配株主による買収にも適用されるため)。
状況:公開買付報告書が提出されていれば「終了」、公開買付撤回届出書が提出されていれば「撤回」、それ以外は「買付期間中」です。
各数値の定義
- 買付価格(普通株式1株当たり)
- 書類の「買付け等の価格」に記載された、普通株式1株当たりの公開買付価格(円)。新株予約権等の価格は含みません。訂正届出書で変更された場合は変更履歴として並べ、最新の値を表示します。
- 書類に記載された、公開買付価格の株価に対するプレミアム(%)。基準(公表日の前営業日の終値、過去1・3・6ヶ月の終値単純平均値など)と基準日を併記します。本サイトでは株価データからの再計算は行っておらず、書類の記載値そのものです。表示は小数第1位に丸めています(原文の値は出典の抜粋で確認できます)。
- 買付期間
- 書類の「買付け等の期間」。延長された場合は延長後の期間を表示し、変更の履歴を並べます。
- 公開買付報告書に記載された応募株券等の総数と、公開買付けの成立・不成立。
- MBOへの該当
- 書類にMBOに該当する旨の記載があるもの。
株式価値の算定
公開買付者・対象会社・対象会社の特別委員会が、第三者算定機関から取得した株式価値算定書の結果として書類に記載されたものを、算定人と算定方法ごとに整理しています。本サイトが独自に株式価値を算定したものではありません。
- 算定を依頼した側
- 買付者(公開買付者が取得)、対象会社(対象会社の取締役会が取得)、特別委員会(対象会社の特別委員会が独自に取得)の別。
- 市場株価法(市場株価平均法)
- 一定期間の株価の終値や平均値から株式価値を算定する方法。基準日や期間が異なる複数の算定がある場合は、書類上の表記のまま区別して表示します。
- 類似会社比較法(類似上場会社比較法)
- 事業内容が類似する上場会社の市場株価と財務指標の倍率から株式価値を算定する方法。
- DCF法
- 将来のフリー・キャッシュ・フローを割引率で現在価値に割り引いて株式価値を算定する方法。
- 算定結果のレンジ(下限〜上限、円)。
- 割引率
- DCF法で用いられた割引率(多くは加重平均資本コスト、WACC)のレンジ(%)。
- 永久成長率
- DCF法の継続価値の算定で用いられた永久成長率のレンジ(%)。倍率法(マルチプル法)のみで継続価値を算定している場合は表示しません。
抽出の方法
- 書類の本文(XBRL に含まれる本文HTML、なければPDF)をテキストにします。訂正書類は、訂正前・訂正後の差分が載っているPDFを使います。
- 書類を丸ごと使わず、キーワードと数値を含む段落(と前後の段落)だけを選びます。キーワードは書類の種類ごとに変えています(公開買付届出書:価格・プレミアム・期間・算定のすべて、訂正届出書:価格・期間などの変更、公開買付報告書:応募結果、意見表明報告書:算定とプレミアム)。該当する段落が無い書類は抽出の対象にしません。
- 選んだ段落を大規模言語モデル(LLM)に渡し、決められた形式(JSONスキーマ)で値を抜き出させます。すべての値について、根拠となる原文の抜粋も同時に抜き出させます。
検証の方法
抜き出した値は、次のルールで機械的に検証し、すべてに合格した値だけを公開しています。
- 原文の抜粋が、書類の本文に実際に存在すること(全角・半角、改行、桁区切りの違いは無視して照合)。
- 抜き出した数値・日付が、その抜粋の中に実際に書かれていること。
- レンジの下限が上限以下であること。割引率は1〜30%、永久成長率は−5〜10%、プレミアムは−50〜300%の範囲に収まること。
検証を通らなかった値は、上位のモデルで抜き出し直し、それでも通らないものは公開せずに手動で確認します(案件ページには件数だけを表示します)。
買付条件(価格・期間・買付予定数・応募結果)は買付者が提出した書類から採り、対象会社の意見表明報告書からはプレミアム・MBOへの該当・算定だけを採ります。
同じ案件の複数の書類で値が異なる場合、訂正書類による変更は「変更履歴」として、それ以外は「食い違い(確認中)」として案件ページに表示します。
集計の方法
- プレミアムの分布は、公表日前営業日の終値に対するプレミアム(書類記載値)を使います。
- 割引率・永久成長率は、DCF法の算定について、1案件×1算定人ごとにレンジの中央を1点としています。
- 算定人名は、書類の中の略称の定義(「以下「〇〇」といいます」)と法人の種類の有無で表記を揃えています。1案件で複数の算定方法を使っていても1件と数えます。
- 同じ算定が公開買付届出書と意見表明報告書の両方に載っている場合は、1つにまとめます(算定方法名の全角・半角や言い回しの違いは無視し、算定人・依頼した側・値がすべて同じものを同じ算定とみなします)。
- 特別委員会の算定人と対象会社の算定人は、両方がDCF法で算定した同じ案件の中だけで比べます。別々の案件の集まりどうしで比べると、業種や規模の違いが混ざるためです。
- 価格の着地点は、買付者側と対象会社側の両方にDCF法の1株当たり価値がある案件について、各レンジを買付価格からの乖離率で表します。
- 業種による違い(割引率・永久成長率は業種の影響が大きい)は、まだ調整していません。収録件数が増えた段階で、業種別の集計を加えます。
限界
- 自動抽出のため、誤りが含まれる可能性があります。必ず出典の原本をご確認ください。
- 収集対象期間より前に届出書が提出された案件は、報告書などがあっても案件として収録されません。
- 非上場会社同士の取引など、開示のない取引は対象外です。
更新履歴
- 2026年9月:初版(直近1年分の公開買付け。条件・プレミアム・算定の抽出)。