26年を隔てた同じ層

2000年今
物理インフラ光ファイバー網・通信会社データセンター・電力・送電網
機器通信機器(Cisco・Lucent・Nortel)GPU・半導体・ネットワーク機器(NVIDIA・Broadcom・Arista)
計算資源の貸し手ホスティング(Exodus など)クラウド(Microsoft・Amazon・Google・Oracle・CoreWeave)
基盤ポータル(Yahoo・Excite・Lycos)基盤モデル(OpenAI・Anthropic・Google・Meta)
サービスEC・ネットサービス(Amazon・Pets.com)AIを使うアプリ・業務ソフト

2つの相場を重ねる

2000年側は Netscape の上場日(1995年8月9日)、今の側は ChatGPT の公開日(2022年11月30日)を起点にし、横軸はそこからの月数。

ChatGPTの公開(2022年11月30日)から46か月。ナスダック総合は起点の2.36倍にいる。Netscapeの上場(1995年8月9日)から同じ46か月後の1999年6月、ナスダック総合は2.47倍で、そこから55か月目の天井では5.02倍まで上がった。

ナスダック総合(起点=100・対数目盛)

ChatGPTの公開(2022年11月30日)から46か月。NVIDIAは起点の13.30倍にいる。Netscapeの上場(1995年8月9日)から同じ46か月後の1999年6月、Ciscoは9.06倍で、そこから56か月目の天井では25.04倍まで上がった。

Cisco(Netscape上場から)と NVIDIA(ChatGPT公開から) 起点=100・対数目盛

ChatGPTの公開(2022年11月30日)から46か月。半導体株指数は起点の4.48倍にいる。Netscapeの上場(1995年8月9日)から同じ46か月後の1999年6月、半導体株指数は1.51倍で、そこから55か月目の天井では4.91倍まで上がった。

フィラデルフィア半導体株指数(起点=100・対数目盛)

似ている点

機器メーカーが顧客にお金を回している

2000年

2000年度に Lucent が顧客に約束した融資は81億ドル(売上の約4分の1)。Nortel は31億ドル、Cisco も24億ドル。顧客の新興通信会社が潰れると、Lucent は2001〜02年に35億ドルの貸し倒れを計上した。

今

2025年9月、NVIDIA は OpenAI に最大1,000億ドルを段階的に出資する基本合意を発表(12月時点でも正式契約ではない)。OpenAI はその資金でNVIDIAの設備を買う。10月には AMD が OpenAI に自社株の約10%を1株0.01ドルで買える権利を渡し、6GW分のGPUの購入契約を結んだ。OpenAI は Oracle とも5年で約3,000億ドルの計算資源の契約を結んだと報じられた。

設備投資が、経済の大きさに比べて2000年を超えた

2000年

米国の情報処理機器とソフトウェアへの投資は、2000年10〜12月期にGDPの4.46%で天井を付けた。

今

2026年4〜6月期は4.96%で、2000年の天井を上回っている。うちコンピュータ・周辺機器(サーバーを含む)への投資は前年比58%増(1990年代後半の最高は15%)。

主役への集中は2000年より大きい

2000年

2000年3月の天井で、Cisco の時価総額は米国の名目GDPの5.5%だった。

今

今、NVIDIAの時価総額はGDPの16.7%で、Cisco の天井の3.0倍。

同じ旗振り役がいる

2000年

ソフトバンクは米 Yahoo などへの投資で時価総額が一時20兆円を超え、トヨタに次ぐ日本2位になった。崩壊で株価は98.6%下げた。

今

今回も OpenAI への大型出資と、OpenAI・Oracle と組んだデータセンター計画「Stargate」の旗振り役になっている。

違う点

投資の主役は、自分の稼ぎで投資している(今のところ)

2000年

光ファイバーを敷いたのは、借金とハイイールド債で資金を集めた通信会社だった。

今

大手5社(Microsoft・Amazon・Alphabet・Meta・Oracle)の設備投資は、直近4四半期で営業キャッシュフローの83%。ただし上昇が続いており、Amazon と Oracle はすでに100%を超えた。借入や、Meta の Hyperion のような帳簿の外での資金調達(Blue Owl と組んだ270億ドルの共同事業)も増えている。

株価の上がり方は、2000年ほど急ではない

2000年

ナスダック100は、2000年3月までの3年間で485%上がった。

今

直近3年では107%。上がってはいるが、2000年の天井の勢いとは桁が違う。

主役の株価は、利益に比べて2000年ほど高くない

2000年

2000年3月の天井で、Cisco の株価収益率は約200倍だった。200年分の利益を先に払う値段で、利益が長く猛烈に伸び続けることを前提にしていた。

今

NVIDIAは28倍。株価の上がり方はナスダックでは1999年とほぼ同じでも、利益の裏付けは桁が違う。ただしその利益は顧客の設備投資そのもので、投資が止まれば利益も減る点は2000年と同じ。

残る資産の寿命が短い

2000年

光ファイバーは数十年使える。作りすぎた回線は、崩壊の10年後にも価値があった。

今

GPUは世代交代が速く、各社はサーバーを5〜6年で償却している。弾けたときに「安く拾える」のはGPUではなく、電力の契約・土地・建屋・送電網のほうかもしれない。

金利の向きが逆

2000年

FRBは1999年6月から2000年5月までに政策金利を1.75pt引き上げ、ナスダックの天井はその途中だった。

今

政策金利は3.63%で、1年前より-0.70pt。利上げで冷やされる局面ではない。

大手5社の設備投資

Microsoft・Amazon・Alphabet・Meta・Oracle の決算(SEC)から。データセンターで多いファイナンス・リースは含まないので、実際の投資額はこれより大きい。

直近4四半期の5社の設備投資は5,864億ドルで、営業キャッシュフロー(7,073億ドル)の83%にあたる。

四半期の設備投資(10億ドル、暦の四半期にそろえた)
数値で見る
QuarterMSFTAMZNGOOGLMETAORCL
2024Q314.922.613.18.32.3
2024Q415.827.814.314.44.0
2025Q116.725.017.212.95.9
2025Q217.132.222.416.59.1
2025Q319.435.124.018.88.5
2025Q429.939.527.921.412.0
2026Q130.944.235.719.018.6
2026Q235.854.244.930.116.5
設備投資÷営業キャッシュフロー(直近4四半期の合計、%)100%を超えると、本業の稼ぎ以上に投資している。

2026年9月28日 10:50 更新・株価は2026年9月25日まで