耐用年数と利益
サーバーの耐用年数の延長で、利益はどれだけ多く見えているか
このページの要点
- 2020〜25年に、マイクロソフト・アルファベット・アマゾン・メタ・オラクルは、サーバーの耐用年数を3〜4年から5〜6年に延ばした。同じ値段をより長い年数に割り振るので、毎年の費用が小さくなり、利益が大きくなる。
- 元の年数のままなら、5社の直近の年度の減価償却は合わせて約322億ドル多かった(幅272億ドル〜374億ドル)。5社の営業利益の合計の7%ほど。
- 割合がいちばん大きいのはオラクル(17%)とメタ(10%)。利益に比べて投資が最も速く増えた会社。
- 新しい投資がゼロでも、すでに買ったサーバーの減価償却は、来年は約750億ドルから893億ドルに増える。今年買った分は、まだ半年分しか費用になっていないため。
何を変えたか
| 会社 | 効いた年度 | サーバーの耐用年数 | 初年度の利益への効果(開示) | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| マイクロソフト | 2021 | 3 → 4年 | +27.0億ドル | マイクロソフト 10-K(2021年6月期) |
| マイクロソフト | 2023 | 4 → 6年 | +37.0億ドル | マイクロソフト 10-K(2023年6月期) |
| アルファベット | 2021 | 3 → 4年 | +26.0億ドル | アルファベット 10-K(2021年12月期) |
| アルファベット | 2023 | 4 → 6年 | +39.0億ドル | アルファベット 10-K(2023年12月期) |
| アマゾン | 2020 | 3 → 4年 | +27.0億ドル | アマゾン 10-K(2020年12月期) |
| アマゾン | 2022 | 4 → 5年 | +31.0億ドル | アマゾン 10-K(2021年12月期) |
| アマゾン | 2024 | 5 → 6年 | +31.0億ドル | アマゾン 10-K(2023年12月期) |
| アマゾン | 2025 | 6 → 5年(一部のサーバー) | −7.0億ドル | アマゾン 10-K(2024年12月期) |
| メタ | 2021 | 3 → 4年(一部のサーバー) | +6.2億ドル | メタ 10-K(2021年12月期) |
| メタ | 2022 | 4 → 4.5年 | +8.6億ドル | メタ 10-K(2022年12月期) |
| メタ | 2023 | 4.5 → 5年 | — | メタ 10-K(2022年12月期) |
| メタ | 2025 | 5 → 5.5年 | +29.0億ドル | メタ 10-K(2024年12月期) |
| オラクル | 2023 | 4 → 5年 | +4.3億ドル | オラクル 10-K(2023年5月期) |
| オラクル | 2025 | 5 → 6年 | +7.3億ドル | オラクル 10-K(2025年5月期) |
「サーバーとネットワーク機器の運用を効率化するソフトへの投資と、技術の進歩のため」
マイクロソフト · マイクロソフト 10-K(2023年6月期)
短くした理由:「技術の進歩が速まっているため、とくに人工知能と機械学習の分野で」
アマゾン · アマゾン 10-K(2025年12月期)
こうした見積りの変更は認められていて、注記で開示される。問題は、サーバーが本当に6年使えるか。動き続けはしても、AIの半導体は1〜2年ごとに速いものに置き換わる。GPUを貸すコアウィーブも6年を使う。アマゾンは2025年に、AIの進みの速さを理由に一部を6年から5年に戻した。
直近の年度の試算
| 会社(年度末) | 設備投資 | サーバーの減価償却(推計) | 元の年数なら | 差(幅) | 営業利益 | 差÷営業利益 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| マイクロソフト2026年6月 | 1,159億ドル | 216億ドル | 326億ドル | 110億ドル102億ドル–138億ドル | 1,552億ドル | 7.1% |
| アルファベット2025年12月 | 914億ドル | 112億ドル | 166億ドル | 54億ドル54億ドル–54億ドル | 1,290億ドル | 4.2% |
| アマゾン2025年12月 | 1,347億ドル | 157億ドル | 198億ドル | 40億ドル38億ドル–43億ドル | 800億ドル | 5.0% |
| メタ2025年12月 | 697億ドル | 185億ドル | 268億ドル | 82億ドル43億ドル–103億ドル | 833億ドル | 9.9% |
| オラクル2026年5月 | 557億ドル | 79億ドル | 114億ドル | 35億ドル35億ドル–36億ドル | 206億ドル | 17.1% |
| 5社の合計 | 4,675億ドル | 750億ドル | — | 322億ドル272億ドル–374億ドル | 4,681億ドル | 6.9% |
差は税引き前。税引き後の純利益への影響は、およそ2割小さい。
1社の推移:マイクロソフト
数値で見る
| 年度 | 実際 | 3年のまま |
|---|---|---|
| 2019 | 5.6 | 5.6 |
| 2020 | 6.7 | 6.7 |
| 2021 | 5.6 | 8.2 |
| 2022 | 8.2 | 9.9 |
| 2023 | 6.0 | 11.9 |
| 2024 | 9.3 | 15.2 |
| 2025 | 14.0 | 21.0 |
| 2026 | 21.6 | 32.6 |
差は変更が効いた年度(2021年度と2023年度)に開き、その後は投資とともに広がる。設備投資は2019年度の139億ドルから2026年度の1,159億ドルになった。
試算の方法
各社は、投資のうちサーバーにいくら使ったかを出していない。そこで、毎年の設備投資(SEC)を1つの塊とみなし、その一定の割合をサーバーとネットワーク機器と仮定して、その時点の耐用年数で毎年均等に費用にする。耐用年数が変わった年からは、残りの簿価を新しい年数で割り振る(会計のルールどおり)。割合は、各社が10-Kで開示した「変更した年の効果」を再現するように決めた。そのうえで、同じ塊を元の耐用年数で割り振った場合と比べた。
合わせた「設備投資のうちサーバーの割合」:
- マイクロソフト: 54%(変更ごとに合わせると 68%, 50%)
- アルファベット: 34%(変更ごとに合わせると 34%, 34%)
- アマゾン: 25%(変更ごとに合わせると 25%, 27%, 24%)
- メタ: 70%(変更ごとに合わせると 36%, 87%)
- オラクル: 68%(変更ごとに合わせると 69%, 68%)
耐用年数を2回変えた会社で、変更ごとに別々に合わせても、アルファベット・アマゾン・オラクルは近い割合になり、モデルが大きく外れていないことを示す。メタは2回で割合が大きく違う。最近の投資の多くがAIのサーバーに向かったため。表の幅は、その低いほうと高いほうで計算した。アマゾンは、ファイナンス・リースで取得した設備(2015〜21年に多い)も投資に含めた。年の途中で買った塊は、その年は半年分を費用にした。
出典:SEC EDGAR
このページは情報の整理で、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。データは各公表元のもので、誤りや遅れがありえます。投資の判断はご自身で。
2026年9月30日 01:15更新・会社の決算は2026年8月まで・業界の長い歴史は2024年まで