専門家・機関の見方

AIはバブルか。専門家と機関の見方

中央銀行・経済学者・金融機関・投資家、そしてAIを作る側の経営者が、いつ・何と言ったか。それぞれの主張を要約し、その後の株価の動きと、このサイトのデータで照らした。

このページの要点

国際機関・中央銀行

警戒2025年10月8日

イングランド銀行(金融安定政策委員会)

「米国株、とくにAI関連の株価は割高で、急な調整のおそれが高まった」

いくつかの物差しで、米国株の割高さはITバブルの天井に近い。AIへの期待がしぼむか、技術や供給の壁で進歩が止まれば株価は大きく下がり、一部の銘柄に偏った相場なので下げは指数全体に広がる、とした。

データこのサイトのデータでは:最大の半導体株の時価総額は米国のGDPの17.0%(2000年の天井の Cisco は5.5%)。崩れのサインは5つのうち0つ点灯。

その後2026年9月28日まで:ナスダック +16%、NVIDIA +21%。

出典:イングランド銀行 金融安定政策委員会の記録(2025年10月)

警戒2025年10月14日

IMF(国際通貨基金)

「AIへの期待が変われば、株などの値段が一気に見直されうる」

国際金融安定報告(2025年10月)。株などの値段は、評価モデルで見ると実力より大きく上にある。投資家はAIを利益率を押し上げるものとみているが、その見方が変わるきっかけはありうる、とした。

データこのサイトのデータでは:最大の半導体株の時価総額は米国のGDPの17.0%(2000年の天井の Cisco は5.5%)。崩れのサインは5つのうち0つ点灯。

その後2026年9月28日まで:ナスダック +19%、NVIDIA +27%。

出典:IMF 国際金融安定報告(2025年10月)

警戒2026年6月29日

BIS(国際決済銀行、中央銀行の中央銀行)

「大手のAI投資は稼ぎを超えており、期待外れなら長い投資の冷え込みになりうる」

年次経済報告(2026年)。大手5社のAI関連の投資は2025〜26年で1兆ドルを超え、利益とフリーキャッシュフローを上回って借金で埋める会社も出た。1830年代の運河、1840年代の英国の鉄道、2000年のITと同じく、最後は投資が反転して景気後退を招いた例に似ている、とした。

データこのサイトのデータでは:大手5社の設備投資は営業キャッシュフローの83%(直近4四半期)。サイン「稼ぎを超える投資」は消灯。

その後2026年9月28日まで:ナスダック +4%、NVIDIA +17%。

出典:BIS 年次経済報告2026の要旨(Fortune、2026年6月)

研究者・ベンチャー投資家

警戒2024年5月15日

Daron Acemoglu(MIT、2024年ノーベル経済学賞)

「AIが今後10年で上げる生産性は、合わせて0.7%にも届かない」

AIで置き換えられる仕事の割合と、そこでの費用の下がり方から積み上げた。全要素生産性の押し上げは10年で0.66%以下、難しい仕事では効きにくいことを入れると0.53%未満。大きな経済効果を前提にした見方に疑問を示した。

その後2026年9月28日まで:ナスダック +60%、NVIDIA +142%。

出典:The Simple Macroeconomics of AI(NBER、2024年5月)

警戒2024年6月20日

Sequoia Capital(David Cahn)

「AIへの投資を回収するには、毎年6,000億ドルの売上が要る」

NVIDIA のデータセンター向け売上の見込みを2倍(電気代や建物を含む総費用)にし、さらに2倍(使う側が5割の粗利を取る)にした額。2023年9月には2,000億ドルと見積もっていたが、投資が膨らんで3倍になった。実際のAIの売上との差が問題だ、とした。

その後2026年9月28日まで:ナスダック +51%、NVIDIA +75%。

出典:AI's $600B Question(Sequoia Capital、2024年6月)

警戒2025年8月18日

MIT NANDA(The GenAI Divide)

「企業の生成AIの試みの95%は、利益への効果が測れない」

企業が生成AIに300〜400億ドルを使ったのに、効果が出ているのは5%だけ。公表された300件超の取り組み、52の聞き取り、153人の調査による。モデルが弱いからではなく、会社の使い方が問題だ、とした。

その後2026年9月28日まで:ナスダック +24%、NVIDIA +26%。

出典:生成AIの95%は効果なし:MIT の報告(The Register、2025年8月)

金融機関・投資家

バブルではない2025年10月8日

ゴールドマン・サックス(Peter Oppenheimer ほか)

「ハイテク株はまだバブルではない」

上げは期待ではなく利益の伸びによる。世界のハイテク株の1株利益は金融危機前の山から約5倍になったが、ほかの業種は合わせて1.25倍。利益の伸びに対する株価の割高さは他の業種と同じで、1990年代末よりずっと低い。ただし一部の銘柄への集中と、未上場企業の高い評価には注意、とした。

データこのサイトのデータでは:最大の半導体株の時価総額は米国のGDPの17.0%(2000年の天井の Cisco は5.5%)。崩れのサインは5つのうち0つ点灯。

その後2026年9月28日まで:ナスダック +16%、NVIDIA +21%。

出典:ゴールドマン「まだバブルではない」(Axios、2025年10月)

警戒2025年11月10日

Michael Burry(映画『マネー・ショート』のモデル)

「大手はサーバーの耐用年数を延ばし、利益を大きく見せている」

NVIDIA の半導体は2〜3年で世代が替わるのに、大手は5〜6年で償却している。そのぶん2026〜28年に費用が合計1,760億ドル少なく計上され、2028年には Oracle の利益が約27%、Meta が約21%大きく見える、と試算した。

その後2026年9月28日まで:ナスダック +14%、NVIDIA +15%。

出典:Burry、Oracle と Meta の利益が大きく見えると指摘(Benzinga、2025年11月)

どちらとも2025年12月9日

Howard Marks(Oaktree Capital)

「バブルかどうかは誰にも分からない。賭けすぎず、選んで持つ」

AI関連株は S&P500 の値上がりの75%、利益の80%、設備投資の90%を占める。値段が上がって下がるだけのバブルと、世の中を前に進める「変曲点のバブル」を分け、AIは後者の面もあるとした。一方で、製品のない会社の巨額の評価や、互いに出資し合う取引を危ない兆候に挙げた。

データこのサイトのデータでは:大手5社の設備投資は営業キャッシュフローの83%(直近4四半期)。サイン「稼ぎを超える投資」は消灯。

その後2026年9月28日まで:ナスダック +14%、NVIDIA +24%。

出典:Is It a Bubble?(Oaktree、2025年12月)

どちらとも2026年9月17日

ゴールドマン・サックス(Peter Oppenheimer)

「株価のバブルは見えないが、利益のバブルかもしれない」

2026年8月に示した見方を、9月の報告で数字で補った。格付けの高いハイテク企業の設備投資は4〜6月期に前年比65%増え、米国の転換社債の発行は年初から1,350億ドル、その44%がAI関連。AIへの投資と国の借金が同じ資金を取り合い、資金の値段が上がる中で利益の伸びが鈍れば株価は下がりうる、とした。

データこのサイトのデータでは:大手5社の設備投資は営業キャッシュフローの83%(直近4四半期)。サイン「稼ぎを超える投資」は消灯。

その後2026年9月28日まで:ナスダック +2%、NVIDIA +4%。

出典:ゴールドマン「利益のバブル」に数字(Fortune、2026年9月)

AIを作る側の経営者

どちらとも2025年8月14日

Sam Altman(OpenAI)

「投資家はAIに熱くなりすぎている。誰かが大損する」

記者との夕食会で、今はバブルかと聞かれて「そうだ」と答え、1990年代末のネットになぞらえた。「バブルでは、賢い人が一粒の真実に熱くなる」。ただし全体としては大きな得になるとし、OpenAI はデータセンターに数兆ドルを使うことになるとも話した。

その後2026年9月28日まで:ナスダック +24%、NVIDIA +26%。

出典:Altman、AIはバブルと発言(CNBC、2025年8月)

どちらとも2025年10月3日

Jeff Bezos(Amazon 創業者)

「これは産業のバブル。弾けても社会には大きな恵みが残る」

金融や住宅のバブルと違い、産業のバブルは弾けた後に技術と設備が残る、とした。バブルの時期には良い案も悪い案も資金を得て、投資家は見分けられない。1990年代のバイオのバブルから新しい薬が生まれた例を挙げた。

その後2026年9月28日まで:ナスダック +18%、NVIDIA +22%。

出典:Bezos「産業のバブル」(CNBC、2025年10月)

バブルではない2025年11月19日

Jensen Huang(NVIDIA)

「バブルと言われるが、我々から見える景色はまったく違う」

決算説明会で。普通の計算から並列計算へ、機械学習から生成AIへ、さらに自分で段取りをこなすAIへ、の3つの大きな移り変わりが同時に進んでおり、需要は投機ではなく計算の土台の入れ替えだ、とした。

データこのサイトのデータでは:最大の半導体株の時価総額は米国のGDPの17.0%(2000年の天井の Cisco は5.5%)。崩れのサインは5つのうち0つ点灯。

その後2026年9月28日まで:ナスダック +19%、NVIDIA +23%。

出典:Huang、バブル説を否定(CNBC、2025年11月)

読み方と注意

要約は各カードの出典をもとにこのサイトが書いたもので、数字は出典のもの。「警戒・どちらとも・バブルではない」の分け方は、このサイトの読み取り。その後の値動きは、主張の日(休みの日は次の営業日)の終値からで、配当は含まない。載せた見方に賛成しているわけではなく、投資の助言でもない。

崩れの5つのサイン →

2026年9月29日 11:24 更新・株価は2026年9月28日まで