電化ウォッチ 電力のボトルネックと銅
電気が足りなくなると、詰まったところが値上がりする。
米国の電気の使用量は14年間ほとんど増えなかった。それがAI・EV・工場の国内回帰・冷房でまた伸び始め、電気を作って運ぶための設備と材料が追いつかなくなっている。発電所から電線の中の銅まで、どこが詰まっているかを段の順に追い、毎朝点検する。
3行でいうと
- 米国の電気の使用量は14年間ほとんど増えなかったが、2021年から6.8%増えた。増えた分の約半分はデータセンター。
- 足りなくなっているのは、ガスタービン(4.3年分の注文待ち)、変圧器(届くまで約2.5年)、そして銅(物価の上昇分を除いて2020年の底の2.2倍)。
- 日本の銅の会社の株は、銅の値段より日本株全体につられて動いてきた。銅そのものに近い東証の1693は、NISAでは買えない。
何が起きているか:需要から銅まで
- 需要
14年止まっていた電気の需要が、また伸び始めた
+6.8%2021年からの米国の電気の使用量2017年からの増加の約半分はデータセンター(7年で使用量が2.7倍)。残りはEV・工場・冷房。
- 発電
発電所のガスタービンが、何年も先まで売り切れ
4.3年分GE Vernova の注文残(売上の何年分か)一日中止まれないデータセンターの電気は、主にガスで作る。米国東部では、数年先の発電の能力を確保する値段が、2024/25年度分の11倍になった。
● 詰まりのサインありくわしく → - 送電網
大型の変圧器は、注文から届くまで2年半
128 週大型変圧器の平均の納期変圧器の値段は2019年の1.9倍(物価の上昇分を除いても1.4倍)。送電網につながるのを待つ発電所は、今動いている発電所より多い。
● 詰まりのサインありくわしく → - 銅
鉱山が追いつかず、銅は歴史的な高さ
2.2倍2020年の底から(物価の上昇分を除く)今より高かったのは1970年代の石油危機と2006〜11年の中国の山のころだけ。新しい鉱山は16年かかり、2025年は大きな鉱山3つで事故が起きた。データセンターは銅の使用量の1%ほどで、AIだけでなく電化全体の話。
● 詰まりのサインありくわしく →
前提は保たれているか
電力需要の伸びに発電と送電網が追いついていない
- 需要:米国の電気の使用量は、今も伸びている(直近1年で+1.2%)。
- 供給:発電・送電網・電線・銅の4つのうち4つ(発電・送電網・電線・銅)で、値段が2019年より大きく高いか、注文残が急に増えている。
判定の決め方は「データと方法」のページにある。
値段がいちばん上がったのはどこか
足りないものは、値段が上がるか、買う側が待たされる。物価の上昇分を除いて2019年から最も上がったのは銅。タービンは逆で、値段はほとんど動いていない。何年も前の注文の時点で値段が決まるので、足りなさは待ち時間に出ている。
数値で見る
| 品目 | 今(2019年=100) |
|---|---|
| 銅の値段 | 182 |
| 開閉器・配電盤の値段 | 149 |
| 変圧器の値段 | 144 |
| 電線の値段 | 141 |
| タービン・発電機の値段 | 100 |
日本から乗るには
三菱重工・日立からフジクラ・住友金属鉱山まで、どの段にも東証と米国の銘柄がある。ただ、会社の株は、売っているものと同じ動きをするとは限らない。この2年、日本の銅と送電網の会社の株は、銅の値段や米国の電力設備株より、日本株全体につられて動いてきた。銘柄ごとに、何と一緒に動いてきたかと、NISAで買えるかを並べた。
このページは情報の整理で、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。データは各公表元のもので、誤りや遅れがありえます。投資の判断はご自身で。
2026年9月29日 11:12更新・米国の電力は2026年5月まで・金属の値段は2026年8月まで