段 2・3 送電網と電線

発電所ができても、つながらなければ届かない

このページの要点

  1. 発電所ができても、送電網につながらなければ電気は届かない。そのつなぐ部品が足りない。
  2. 大型の変圧器は注文から届くまで約2.5年。値段は2019年の1.9倍(物価の上昇分を除いても1.4倍)。
  3. 送電網につながるのを待つ発電所と蓄電池は、今動いている発電所全体より多く、待ち時間は5年を超えた。
  4. 工事会社にも注文が殺到し、最大手 Quanta Services の受注残は1年で1.7倍。家庭の電気代には、まだ大きく出ていない。

機器の値段

物価の上昇分を除いた値段(2019年=100)米国の生産者物価を消費者物価で割った。100より上は、物価の上昇分を除いても2019年より高い。
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品目2019年比(名目)実質(2019年=100)1年の変化(実質)
変圧器の値段1.88倍144+4.3%
開閉器・配電盤の値段1.94倍149+9.6%
電線の値段1.84倍141+1.5%

変圧器は発電所・送電線・使う側のあいだで電圧を上げ下げする機器、開閉器は回路を安全に入り切りする機器。どちらも2020年までは値段の安い部品だった。需要が横ばいの時代にメーカーは生産能力を減らしており、変圧器には作れる工場の少ない特殊な鋼板(方向性電磁鋼板)が要るので、すぐには増やせない。大型変圧器の需要は2019年から116%増えた(Wood Mackenzie)。

出典:FRED / Wood Mackenzie 2025年8月 / POWER 2026

待ち時間

大型の変圧器128 週平均の納期(2025年4〜6月の調査)
発電所用の昇圧変圧器144 週平均の納期
2025年の大型変圧器の不足30%配電用は10%
接続待ち(2025年末)2,061 GW2024年末の2,290GWが最大

接続待ちは2025年に1割減った。太陽光・風力・蓄電池の計画の多くがあきらめたためだが、ガス火力の接続待ちは86%増えて253GWになった。2025年に運転を始めた計画は、申し込みから中央値で5年超待った。

出典:POWER 2026 / Wood Mackenzie 2025年8月 / LBNL Queued Up 2026

送電網の工事の受注残

Quanta Services の受注残(残りの履行義務、億ドル)米国最大の送電線・変電所の工事会社。SEC に出す決算から。
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四半期末受注残
2019年3月47億ドル
2019年6月47億ドル
2019年9月44億ドル
2019年12月53億ドル
2020年3月54億ドル
2020年6月52億ドル
2020年9月44億ドル
2020年12月40億ドル
2021年3月41億ドル
2021年6月44億ドル
2021年9月44億ドル
2021年12月59億ドル
2022年3月68億ドル
2022年6月69億ドル
2022年9月68億ドル
2022年12月88億ドル
2023年3月103億ドル
2023年6月125億ドル
2023年9月136億ドル
2023年12月139億ドル
2024年3月149億ドル
2024年6月144億ドル
2024年9月156億ドル
2024年12月168億ドル
2025年3月176億ドル
2025年6月192億ドル
2025年9月210億ドル
2025年12月238億ドル
2026年3月262億ドル
2026年6月335億ドル

出典:SEC

電気代には出ているか

まだ大きくは出ていない。米国の家庭の電気代の平均は、物価の上昇分を除いて2019年比+10%(1年で-0.2%)。送電網や容量の費用は、規制当局の認可を経て数年遅れで電気代に入る。

出典:FRED

このページは情報の整理で、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。データは各公表元のもので、誤りや遅れがありえます。投資の判断はご自身で。

2026年9月29日 11:12更新・米国の電力は2026年5月まで・金属の値段は2026年8月まで