米中AI競争ウォッチ 半導体と電力

半導体は米国、電力は中国。

AIには、計算するためのチップと、それを動かす電気が大量に要る。チップは米国が先を行き、中国には最先端のものを売らない。電気は中国がはるかに多く作り、毎年大きく増やしている。イーロン・マスク氏は「電気が勝負を決める」と言う。その力関係が動いていないかを、毎朝データで確かめる。

3行でいうと

  1. 電力:2025年、中国は米国の2.3倍の電気を作り、その1年だけで491TWh増やした。世界中のデータセンターが使う電気(415TWh)より多い。
  2. 半導体:2025年に世界で出荷されたAIの計算力のうち、中国向けは4.7%だけ。最大の学習に使った計算の量は、米国が中国の50倍。
  3. それでも中国の最高のモデルは約4か月遅れにとどまる。中国は国産チップ(新しい計算力の87%)と電気で補う。中国のAIのデータセンターは、同じ計算に米国の約2.4倍の電気を使っている。

点検している前提

保たれている

半導体は米国、電力は中国が優位

  • 半導体:2025年に世界で出荷されたAIの計算力のうち、中国向けは4.7%。最大の学習に使った計算の量は、米国が中国の50倍。米国の優位は保たれている。
  • 電力:直近12か月で、中国の発電は568TWh、米国は128TWh増えた(4.4倍)。中国の優位は保たれている。

判定の決め方は「データと方法」のページにある。

2つのボトルネック

AIの計算力は、よいチップがいくつあるかと、それをつなぐ電気がどれだけあるかで決まる。米中はそれぞれ片方に強い。

電力 中国が優位

2.3倍

中国の発電量(米国に対して)・2025

  • 1年で増えた量:中国 491TWh、米国 129TWh
  • 増えた発電設備:中国 532GW、米国 44GW
  • ただし安いとは限らない:沿岸のデータセンターの電気代は米バージニア州並み
電力のページ →

半導体 米国が優位

4.7%

新しいAIの計算力のうち中国向け・2025

  • チップ1個:B300 は Ascend 910C の3.3倍
  • 最大の学習の計算量:米国は中国の50倍
  • 中国向けの87%はすでに国産チップ
半導体のページ →

結果として:モデルの実力

最大の学習の計算量が50倍違うのに、中国の最高のモデルの遅れは年ではなく月の単位。中国の上位10のモデルのうち6つは誰でも取り込める公開の重みで、米国の上位10は0つ。

米国の最高のモデルGPT-6 AstraECI 166.6 · 2026年9月
中国の最高のモデルKimi K3ECI 157.7 · 2026年7月
中国の遅れ4.4か月米国のモデルがその水準に届いたのは何か月前か

AIモデルのページ →

何か変わり始めているか

6つのサインのうち1つが動いた。すでに変わったのは、中国の国産チップへの切り替え。米国の輸出規制で止められる部分は小さくなった。

サインの詳しい説明と年表 →

最近の出来事

  1. 半導体中国

    中国の工業情報化省が、ByteDance・アリババなどに Nvidia の RTX Pro 5500 の購入を認める考えを伝えたと報道(米国が輸出を認めるかは未定) Implicator「China Signals It Will Approve Nvidia RTX Pro 5500 Purchases」(2026年9月28日、The Information の報道を受けて)

  2. 半導体米中

    トランプ大統領と習主席がワシントンで会談。AIの対話の場は作るが、半導体の規制は合意なし Roll Call「AI export controls debate rages as Trump, Xi meet」(2026年9月23日)

  3. 半導体中国

    中国は H200 の輸入を20万個未満(申請の半分以下)に絞り、学習用に限る方向と報道 TrendForce

  4. 半導体米国

    米商務省「規制は中国に本社がある会社の海外の拠点にも及ぶ」 Al Jazeera「US says ban on AI chip shipments applies to Chinese firms outside China」(2026年6月1日)

  5. 半導体米国

    米商務省が約10社に H200 の輸出を許可(1社7万5千個まで) TrendForce

年表をすべて見る →

当事者はどう見ているか

2026年1月 · 電力と半導体

イーロン・マスクテスラ・SpaceX・xAI

中国は電気で勝ち、いずれチップも解決して、AIの計算力で世界を大きく上回る

中国は誰よりも多くの電気を持ち、たぶんチップも多く持つ。今の流れのままなら、中国はAIの計算力で世界のほかの国を大きく上回る。人は電気を新しく用意する難しさを甘く見ている。

データで見ると電気は方向としては合っているが、3倍にはまだ届かない(2025年に中国の発電は米国の2.34倍)。計算力は今のところ逆で、世界の新しいAIの計算力のうち中国向けは2023年の11%から2025年は4.7%に下がった。

見るべき数字:中国の発電が米国の何倍か、中国向けの計算力が増えているか — 半導体

出典:Business Insider「Elon Musk says China will 'far exceed the rest of the world in AI compute'」(2026年1月7日、Moonshots with Peter Diamandis での発言)

2025年11月 · 電力と半導体

ジェンスン・フアンエヌビディア

中国は勝つ(のちに「米国の数ナノ秒後ろ」と言い直す)。中国は電気がほぼ無料

中国はAIの競争に勝つだろう。……(数時間後の声明で)以前から言っているとおり、中国はAIで米国の数ナノ秒後ろにいる。米国は先に走って、世界の開発者をつかむことが大事だ。

データで見ると「数ナノ秒」は実際には数か月:中国の最高のモデル(Kimi K3)は、米国が4.4か月前に届いた水準。電気代は、OIES によれば中国沿岸のデータセンターで1kWhあたり0.08〜0.14ドルと、米バージニア州(0.10ドル)並み。安さは地方政府の最大50%の補助から来ている。

見るべき数字:モデルの実力の差は何か月か、中国の電気は本当に安いか — AIモデル

出典:CNBC「Nvidia's Jensen Huang softens his 'China will win the AI race' remark to FT」(2025年11月6日)

2026年1月 · 半導体

ダリオ・アモデイAnthropic

チップを作る力で米国は何年も先を行く。先端チップを中国に売るのは大きな誤り

チップを作る力では、我々は中国より何年も先を行っている。それを出荷するのは大きな誤りだ。北朝鮮に核兵器を売って自慢するようなものだ。

データで見るとチップ1個では、米国の最新(B300)は中国の最良(Ascend 910C)の3.3倍の計算をする。2025年に中国向けに出荷されたチップは合わせて H100 の64万個分、それ以外は1,294万個分。

見るべき数字:チップ1個の性能の差と、出荷された計算力の差 — 半導体

出典:Axios「Anthropic CEO on Nvidia chips to China」(2026年1月20日、ダボス会議)

2025年6月 · 電力と半導体

任正非ファーウェイ創業者

チップは1世代遅れている。だが数でまとめて(電気を多く使って)補えば、実用では追いつける

我々のチップは1つでは米国より1世代遅れている。数学で物理を補い、ムーアの法則でない方法でムーアの法則を補い、束ねた計算で1つのチップの弱さを補う。

データで見るとデータでもこのやり方とその代償が見える:中国の大きなAIのデータセンターは H100 千個分あたり約2.3MW、米国は0.9MW で、同じ計算に約2.4倍の電気を使う。束ねるやり方が成り立つのは、電気に余裕があるから。

見るべき数字:同じ計算にどれだけ電気を多く使っているか — 半導体

出典:ChinaTalk「Huawei Founder on US v China and Basic Research」(人民日報 2025年6月10日のインタビューの英訳)

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このページは情報の整理で、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。データは各公表元のもので、誤りや遅れがありえます。発言は報道・書き起こしからの要約と訳で、原文は出典をご覧ください。投資の判断はご自身で。

2026年9月29日 12:24更新・米国の電力は2026年6月まで、中国は2026年5月まで・モデルは2026年9月9日まで